屋根組みは、かく語りき。
補修工事を請け負ってくれているクリーンスペースさんにお願いして、隈事務所の藤原君と秋山君を連れて、屋根に登った。
先日の豪雨で雨漏りがひどかった。
原因をこの目で確かめたかったからだ。
「こっちから見てみらんですか!!普通は雨を外に建物の外に逃がしてやるようにしてあるのですが、ここは、全部の雨がここに集中してしまうんですよ。この部分なんか、すべての雨がここに集中して流れてきます。大洪水状態になり、限界を超えて雨樋からあふれて、掃け切れずに雨漏りしてくるんですよ。」
満田社長が説明を加える。
「なんでこんなことしてあるんですか?」
「まあ・・・。日本の屋根は通常谷間をまとめます。棟と棟をぶつけてつなげるんですね。なるべく谷を避けるわけです。ところが、ハマダしょうゆは、棟をつなげてない。 ほら、いたるところで、妻面が谷に垂直にぶつかっているでしょ・・・。普通の日本建築ではあり得い!!」
藤原君がにこやかに説明してくれた。
「文化的な価値は大したことないけど、こんな屋根。すごい希少価値ですよ。日本には、いや世界中探してもここしかない屋根のつくりですよ。わはははあ!!」
笑いながら藤原君が続ける。
「・・・・・」
なぜか憎めない。
「いやあ、見てて実に飽きない。一気呵成に継ぎ足していったスピード感と世代を超えた勢いを感じる屋根です。」
「・・・・・??」
多少、文化的にフォローしてくれたが・・・どうも釈然としない。
「一言で言うと、どうなるわけですか?」
と迫った。
「妻と谷との危険な出会い! 大胆に露骨に妻面が見えている・・・。そんな光景です。濱田さんらしいですよ・・わははあ」
と、更に、藤原君。
「む!!・・・・・・・・。 冗談じゃないっしょ。こっちの身にもなってよ。この雨漏りが大変なんですから・・・」
私は解決策を要求した。
「通常は、増築するときは、屋根を剥がして、となりの棟とつなげて・・・一旦、前の作業は止めて、となりの蔵での作業は一旦とめて増築していくものです。しかし、おそらく当時は勢いが有り、そんな作業を止めている場合じゃなかった。 ノンストップで、前のめりでやっていったんでしょう。 いやあ・・・、事業拡大の勢いを垣間見ます。作業を止められなかったんでしょうね・・・。」
「ほう。」
「でも・・・きっと当時の大工は、必ず雨の問題が将来出てくる。そんな忠告はしたはずでしょう。天国から「大工の責任じゃねええ。俺は言ったはずだ」って言ってますよ。 そう・・・ わははああ」
屋根組みから、当時の状況を推測する。更に天国の大工の代弁まで・・。 現場のプロ藤原君らしい・・・。
勢いがあり、屋根を繋いでいる暇なんて無かったのかもしれない・・・。おそらく当時の施主も雨の問題は後々・・・。そう考えても仕方なかったのだろう。
そう思うと、怒りも無くなった。
後々の問題が、今、たまたま、私に降りかかって来たのだ。そんな数奇な運命を受け入れよう。
なんとなく、ふっきれた。
屋根組み1つから、当時のハマダの勢い。 世代を超えた前のめり感。
棟を揃えず、山のように屋根が繋がっている。
この前のめり感こそ、”濱田家の伝統”
そう言い切った隈事務所の藤原君と秋山君。
見事に私の性質を見抜かれた。
あっぱれである。
「まあ改修費用は概算で200万くらいと考えておいてください・・」
「・・・・・・・・」
さらりと秋山君が告げ足した。
瞬間、足元の瓦が「じじっ」と音を立ててズレた。
(今回のブログ内容とは関係ありませんが、隈さんと、浜田醤油プロジェクト担当の藤原君、秋山君の貴重な3ショットです。後ろに見える大きな木は、シンボルツリーの醤油クスノキ。醤油を飲んでこんなにでっかく成長しました・・・。)
(これもおまけです。右、原研哉さんに濱田醤油プロジェクトの建築進捗状況を語る藤原君。後ろは秋山君。)
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